ワールドクラスとの差は広まる一方か・・・日本代表、ブラジル戦採点

 日本代表(FIFAランキング44位)は11月10日、フランス・リールでFIFAランキング2位のブラジルと親善試合を行い、1-3で敗れた。前半10分、DF吉田麻也(29=サウサンプトン)がコーナーキックの守備の際に相手選手を抱え込み、これがビデオ判定でPKと判定。これをFWネイマール(25=パリ・サンジェルマン)に決められ、あっさりと先制を許した。さらに同17分、コーナーキックの守備からMF井手口陽介(21=ガンバ大阪)のクリアが小さくなったところを、DFマルセロ(29=レアル・マドリード)にダイレクトでミドルシュートをたたき込まれて2失点目。36分には素早いカウンターでDFラインを切り裂かれ、最後はFWカブリエル・ジェズス(20=マンチェスター・シティ)に決められて前半だけで3失点を喫した。

 日本も後半に入り、62分に井手口のコーナーキックからDF槙野智章(30=浦和)がヘディングで決め、2006年の南アフリカワールドカップでFW玉田圭司が決めて以来、11年ぶりにとなるブラジルからゴールで1点を返した。しかしブラジルとの差は歴然で、来年6月のロシア・ワールドカップに向けて大きな課題が浮き彫りとなる一戦になった。トータル11編集部では、日本代表選手の採点をお届けする。

GK 川島永嗣  5・5

前半にこの日2本目となるネイマールのPKをストップし、意地はみせた。3失点はすべてGKの責任ではない。しかしビルドアップ時のパススピードの弱さや、ロングフィードのアバウトさなど、やはりトップレベルのGKと大きな差があるのは確か。しかし川島の座を脅かす選手が、日本で台頭していないということもやはり事実だ・・・

DF 吉田麻也  4・0 

先制点を与えたPKは不用意。しかしあのプレーをひもとくと、ブラジルは吉田がマークする選手をフリーにするため、スクリーンプレーを仕掛けていた。吉田は自身をブロックしようとした選手を引きはがそうとした結果、ファウルを犯していた。そんな細かいプレーにも、日本とブラジルとのレベルの差が浮き彫りになっていた。

DF 槙野智章  5・0

ヘディングで決めた1点は、唯一のチャンスをしっかりと決め切ったところも評価に値するだろう。攻撃面でも、スイッチを入れる縦パスを意識し、何度かチャンスにつながった場面もあった。一方センターバックとしての守備面では、ブラジルの嫌がるプレーができていた印象はない。やはり彼の良さは攻撃面なのだろうが、まず守備からという現実的な戦いをする際に、起用すべき選手なのかどうかには疑問符が付く。

DF 長友佑都  5・0 

この試合が日本代表での100試合目で、キャプテンマークを巻いて臨んだ。しかしブラジルの前に持ち味のオーバーラップをみせる場面は数少なく、対面するウィリアンが中に切れ込むスピードにはついて行けない場面も。日本屈指のサイドバックとはいえ、やはり世界の舞台では決して抜きんでた存在ではないことは改めて知らしめられた。

DF 酒井宏樹  5・5

ネイマールに食らいつき、必死のプレーをみせた。所属先のマルセイユでも、パリ・サンジェルマンのネイマールと対戦していたこともあってか、独特の間合いに飛び込むことなく、粘り強い対応はみせた。何度もファウルを取られたが、直接フリーキックが狙える危ない位置では少なく、ブラジルの10番をいらだたせる効果の方が大きかったと言える。しかしカウンターから失点した3失点目は、ジェズスへのマークを怠った。  

MF 井手口陽介 5・0 (86分アウト)

3人で形成された中盤で三角形の頂点に入り、前半の立ち上がりはMFフェルナンジーニョ(マンチェスター・シティー)らへの激しいチェックで何度も効果的なボール奪取をみせた。しかし2失点目につながったクリアミスは、世界レベルでは決して犯してはならないミス。チーム最年少の21歳が、この一戦で感じ取った収穫は小さくないはずだ。

MF 遠藤航   時間短く採点なし (86分イン)

MF 山口蛍   4・5

守備の仕事に忙殺される中でも、ボールを奪えば縦に素早くボールを送ろうという確かな姿勢は感じた。しかしJリーグで見せるような効果的な攻撃参加はほとんどなし。川島のストップで得点にはならなかったが、PKを与えた場面は一瞬の寄せの遅れが命取りになっていた。自慢のボール奪取力を発揮する場面も決して多いとは言えず、ブラジル相手に通用したというポジティブな点は少なかった。

MF 長谷部誠  4・5 (70分アウト)

センターバックの前、バイタルエリアのスペースを空けないように細心の注意を払っていた。しかし失点したコーナーキックとカウンターの場面では、そんな危機管理意識も簡単に振り切ってしまう個人能力の前に、まさに無力だった。日本代表ではピッチ内外での貢献も含め高い評価を受けているが、世界に出てみればピッチ上でほとんど目立たない凡庸な選手に見えてしまう。

MF 森岡亮太  5・5 (70分イン)

途中出場でトップ下の位置に入り、2014年のブラジル戦以来約3年ぶりとなる代表戦のピッチに。3年前は何もできずに前半のみで交代したが、ベルギー・ベヘレンで旋風を巻き起こしている26歳は、長短織り交ぜたパスで攻撃のリズムを生みだすなど成長ぶりを披露。後半ロスタイムには意外性のあるダイレクトパスで右サイドを崩し、浅野の決定機を演出した。後半はブラジルがペースを落としていたとはいえ、短い時間で持ち味は垣間見せた。

FW 原口元気  4・5 (70分アウト)

献身的にアップダウンは繰り返して攻守に走り回ったが、ただそれだけに終わった。背中にDFを背負っても、個人の突破力で打開したネイマール、ウィリアンというブラジルの両サイドと比べると、力の差が大きすぎた。日本が強豪国と対戦する際には、サイドに開いたFW(またはMF)が個で局面を打開しなければ、カウンターなどの活路が見いだせない。日本屈指のサイドアタッカーも、まだまだ力不足だ。

FW 乾貴史   5・0 (70分イン) 

ややペースダウンしていたブラジルに対し、前を向いてボールを受ければ仕掛けようという意識はみせた。オフサイドとはなったが、杉本のシュートがネットを揺らした左サイドからのFKは正確だった。今後も短い時間での攻撃の切り札として、起用されていく可能性は高いだろう。

FW 久保裕也  4・0 (46分アウト)

シュート力が持ち味のはずが、サイドの足もとでばかりボールを受ける羽目になり、まったく持ち味は出せなかった。何度か裏を取ろうという抜けだしもあったが、ことごとくオフサイドにかかり周囲との連携も今ひとつで、前半のみで交代。強豪国との対戦時、右FWとして彼を起用するという点についての疑問すら浮かび上がってしまう内容だった。

FW 浅野拓磨  5・5 (46分イン)

自慢のスピードを生かしてチャンスに絡んだ。単純な速さ、という点ではブラジル相手にも通用した。しかしボールを扱う技術、シュート、つなぎのパスといった点で、細かいミスが目に付いた。後半ロスタイムに訪れたビッグチャンスも、きっちりとクロスにミートすることができなかった。

FW 大迫勇也  5・0 (80分アウト)

ブラジルの厳しいマークに苦労し、思うようなボールキープができなかった。足もとでの勝負が厳しいとみるや、裏への動き出しに活路を見いだそうとしたが、相手に対してスピード不足は否めず。チアゴ・シウバのようなワールドクラスのセンターバックを相手にするには、やはり日本屈指のポストプレーヤーでも厳しいのが現実だった。

FW 杉本健勇  5・0 (80分イン)

短い時間でボールを触る機会も少なかったが、オフサイドにはなったが乾のFKを頭ヘディングで正確にとらえてネットを揺らしたシーンはつくった。体格ではブラジル相手にも引けを取らない大型FWは、ワールドカップでも武器になる可能性を少しだけのかせたといえる。

バヒド・ハリルホジッチ監督  4・0

長谷部、山口、井手口という守備力の高い3人を中盤に置いて高い位置でのボール奪取を狙い、原口、久保という縦への推進力を持った両サイドFWを生かしてカウンターを狙うという意図は理解できた。しかしそんなありきたりな戦術では、いかんともしがたいブラジルと日本の差を埋めることは到底不可能なのかもしれない。本大会でブラジルクラスの強豪と当たる際、どういった手を使うのかに注目だ。