ドイツでDFとしてキャリアを積む長谷部。果たしてハリル・ジャパンでは??

 10月21日に行われたブンデスリーガ第9節、フランクフルト対ドルトムントでは、長谷部誠VS香川真司という日本人対決が実現した。途中出場で印象的な活躍は見せられなかった香川に対し、長谷部は3バックの中央でフル出場を果たし、格上のドルトムントに対して2-2の引き分けに持ち込んでの勝ち点1に貢献した。トータルイレブン編集部では、今やブンデスリーガでDFとして地位を築きつつある長谷部を、日本代表でも同じDFとして起用するプランについて検証する。

いまだ定まらない吉田麻也の相棒

 今シーズン、ブンデスリーガの9試合中7試合にフル出場を果たしている長谷部。3バックの中央、いわゆるリベロとしてプレーし、高い戦術眼を武器にフランクフルトのニコ・コバチ監督から信頼を得ている。ドルトムント戦での長谷部は、FWオーバメヤン、マリオ・ゲッツェといった敵の強力攻撃陣を前に、2点ともに絡んでしまった。1点目は中盤からゴール前に飛び出してきたMFシャヒンをつかまえきれず、クロスに合わせられた。2点目はFWフィリップのシュートにあと一歩寄せきることができず、ミドルシュートをねじ込まれてしまった。一方で試合終了間際には、ゴールライン上で相手シュートをブロックし、なんとかチームに勝ち点1をもたらしている。

 日本代表での長谷部は、一貫して中盤で起用され続けている。4-3-3の場合は逆三角形型の中盤をそこから支えるアンカーとして、4-2-3-1ではダブルボランチの一角として、ハリルホジッチ監督の信頼が揺らいでいる様子はない。しかしチーム状況に目を向けてみると、現在の日本代表は中盤よりセンターバックの人材難が顕著だ。中盤にはセレッソ大阪のMF山口蛍、ガンバ大阪のMF井手口陽介、浦和レッズのMF遠藤航と、長谷部と同じく守備に軸足を置いてのプレーを得意とする人材が台頭している。一方でセンターバックはサウサンプトンDF吉田麻也の相棒が定まっていない状況だ。鹿島DF昌子源が一番手であろうが、いまだレギュラーを奪ったとはいえない。センターバックには鹿島のDF植田直道、浦和のDF槙野智章らが招集されているが、まだ十分に指揮官の信頼を勝ち取っているとは言い難い状況だ。

体格の不利をカバーしうる豊富な経験値

 フランクフルトと日本代表は、根本的にシステムが違う。長谷部は決して身体能力に恵まれたタイプではなく、やはり177センチの身長はセンターバックとしては物足りない。フランクフルトでは3バックの中央でリベロとして振る舞い、両ストッパーに屈強なタイプを置いていることで長谷部の身長の低さをカバーしている。しかし日本代表で4バックを形成した場合に、相手チームが189センチと高さのある吉田を避け、長谷部のサイドで空中戦を仕掛けてくるという戦術は十分に考えられるだろう。

 しかし高さの不利をカバーするほどの危機察知能力が、33歳となった長谷部には備わっている。周囲を動かし、常に声をかけ、チームにとって最適な陣形を組むことができる目は、他の日本人センターバックと比較しても上回っている点だろう。今はラインを上げるべきか、それとも下げてゴール前を固めるべきか。ブンデルリーガではサイドバックの経験も豊富なマルチロールは、十分に4バックの一角でもハイレベルでこなすとみる。さらにベテランの域に差し掛かり、運動量にやや陰りがみえる部分も、センターバックとしてなら覆い隠すことも可能だ。

攻守両面で最後方の司令塔に

 ハリルホジッチ監督がベースとしている4-3-3のシステムで、長谷部をセンターバックに置く例を考えてみよう。吉田、長谷部の両センターバックの前に、アンカーとして豊富な運動量で広い守備範囲を誇る山口を置く。そしてその前に、守備力が高くさらに攻撃面でも強烈なミドルシュートを持つ井手口と、日本屈指のテクニックを誇る香川を司令塔として配する。山口、井手口の両MFは若さ故に、ボールに食いつきすぎてしまうきらいはあるが、そこは「元ボランチ」の長谷部が後方から舵を取ることも可能だろう。

 長谷部をセンターバックに置くことで、ビルドアップの面でもスムーズさが増すことは期待される。やはり懸念されるのは守備での対人能力だが、リードされて守備を重視したい展開になれば、香川を外して長谷部を中盤に上げ、センターバックを一枚起用する、という考え方もある。

目前に迫るW杯に向けて新たなチャレンジを

 ロシア・ワールドカップまであと約8か月。ここからチームの骨格が大きく変わることもなく、選手たちがその実力を急激に伸ばすということは考えづらい。10月の親善試合では、ニュージーランド戦には2-1とかろうじて勝利し、ハイチ戦では3-3と引き分けるなど、今ひとつ好材料の少ないハリル・ジャパン。現在ある『資源』を最大限に生かし、チームに新たな風を吹かせる方法として、11月に行われるベルギー、ブラジルという強豪との対戦で、センターバック・長谷部は試す価値があるのではないだろうか。