イギリスサッカーにおける育成年代の大きなメソッドの変化

 まず初めに、題名で用いている「メソッド」という言葉は「教授法」のことを指している。

 皆さんの多くは狭いスペースの中で行う4対4+4フリーマン(外の辺に選手を2人ずつ配置)等、典型的な3色のグループに分けて行う練習をしたことがあるかと思います。通常、これらのフリーマンはボールポゼッションを容易にするために用いられ、ある一定の時間により交代して中のグループと入れ替わるか、または各ゴールにつき得点を入れられた方のグループと入れ替わります。これはフリーマンをしながら(プレーをしながら)休憩時間を与え、チーム全体に関与させる良い方法です。

 フリーマンに通常用いられるノルマは以下の通りです:
・タッチ制限。
・シュートを打つ前に少なくとも1人のフリーマンを経由しなければならない。
・フリーマン同士のパスはできない、もしくはパスを受け取った選手へのリターンパスはできない。

 上記の練習のバリエーションについてみて行きましょう。
先程のようにフリーマンを外の辺に配置するのではなく、今回は次のようにゴールの両サイドへとフリーマンを配置します。

 数年前イギリスサッカー協会は、育成年代のトレーニングメソッドの型を変更させることを決めました。ここまでみてきたような『幅』ではなく、『奥行き/深さ』のあるところで選手を適用している理由は、選手たちがイギリスのプレーモデルにおいて重要となる学習の習得と試合に限りなく近い状況を経験することにより練習でこれを習得する可能性に基づいています。これは既に、2010年にドイツサッカー協会が行ったポジショナルプレーの基本原則が含まれています。

 上記の練習には多くのノルマが用いられました:
・シュートの前にフリーマンへパスを行わなければいけない。または、フリーマンへとパスをした後、最大3本のパスまで可能となる。
・フリーマンだけではなく、すべての選手のタッチ制限を設ける。(以前はフリーマンのみに制限が設けられていましたが、これにより選手間でより多くのコンビネションプレーが可能となり、チームがボールを保持している時にスペースの構造とそれを埋める行為をより重視することができます)
・フリーマンとの壁パスからの得点は2点、それ以外は1点とする。
・シュートは1タッチのみ。

 これらのノルマの全ては、イギリスサッカー協会が実践しようとしているプレーモデルに近いものです。まず、フリーマンをゴールポスト脇に配置することにより、選手たちは最初の選択肢として縦パスを選択するようになります。縦パスはサッカーでスペースを獲得する最短の方法です。ポジショナルプレーの主なポイントの1つは、常に最も奥行き/深さのあるところに配置している選手を探すことであり、このタイプの練習では常にその状況を与えることができます。

 これはまた、テクニックの改善と良い身体の向きを習得することも出来ます。遠くの味方選手がどこにいるのかを知ることにより、身体の向きを適切に調整することが可能となります。縦パスを入れた時に、フリーマンに対するサポートを強調することが重要となります。これにより、3人目の選択肢(ポジショナルプレーのもう1つの基本)を作り出すとともに、適切な身体の向きを用意することでボール保持者にだけスポットを合わすのではなく、相手の脅威も見ることが可能となります。

 この練習の次へと発展させる他のバリエーションは、以下のようになります

 ゴールを増やし、両サイドのゴールを1点、中央のゴールを2点とします。これにより、選手はより多くのことを考えなければなりません。ゴールの数が多くフィニッシュのオプションが増えるため、選手同士でどこのゴールを奪えば良いのかというコミュニケーションをとる行為へとつながります。

 実際の試合において、中央のゴールは2点になるでしょうか?

 もし、我々が中央のゴールを狙おうとしたら、相手選手とGKはそれを防ぎに来るでしょう。常にゴールに近いところに得点への活路は存在するでしょうか?そこだけではなく、サイドにも活路は存在するでしょう。

 指導者の用いる適切なメソッドやノルマ等の設定により、練習の質は格段に増すことでしょう。