【コラム】東京五輪監督、噂の3人で適任は誰だ!?

 2020年の東京五輪に向け、サッカー日本代表監督がスポーツ新聞各紙で話題に上がり始めた。最有力は元広島の森保一監督という報道が多いが、まだ決定的な情報は出てきていない。トータル11編集部では、ここまで噂に上がっている3人の監督の実績、特徴等を洗い直し、オリンピックで日本を率いるのに適した人物は誰なのか検証する。

森保 一 (49歳、現在フリー)

 今シーズン途中、成績不振でサンフレッチェ広島を解任され、現在はフリーとなっている通称“ポイチ“が、スポーツ各紙によると現在の最有力候補に挙がっているという。2012年から今季途中まで広島を率い、3度のリーグ優勝とJリーグで近年最も成功した監督と言えるだろう。

 現役時代は守備敵MFとして活躍し、日本代表としてドーハの悲劇を経験するなど、国際Aマッチ35試合に出場している。かつて広島を率いたペトロヴィッチ監督(前浦和レッズ監督)時代にコーチを務めていた経験もあり、広島監督時代は同氏と同じく3-6-1のシステムを主に採用。両サイドのMFは攻撃時には高いポジションをとり、守備時には状況に応じて最終ラインまで戻って5バックを形成する戦術が特徴的だった。また広島では絶対的エースだったFW佐藤寿人(元名古屋グランパス)をスタメンから外す決断をするなど、冷静にチーム状況を見極める決断力も光っていた。また日本代表FW浅野拓磨(現シュツットガルト)を積極起用して代表クラスの選手に育てるなど、若手の積極起用にも定評がある。

 一方で監督経験は広島のみで、ある程度ペトロヴィッチ監督によってベースができあがっていたチームをより磨き上げたという見方もできる。広島の特徴的なシステムは、練習時間がたっぷりあるクラブチームだからこそ可能だという意見もあり、練習時間は決して多くない五輪代表に適したシステムかも不明。森保監督の中に、そのほかの引き出しがあるのか、という点が不安材料でもある。

手倉森 誠 (49歳、現日本代表コーチ)

 2016年のリオ五輪で代表監督を務めた経験を持ち、現在はハリルホジッチ監督の日本代表でコーチを務める。リオ五輪では予選リーグ敗退と結果を残せなかったが、アジア予選を含めて国際大会を戦った経験は貴重だ。Jリーグでは2008年から2013年までベガルタ仙台の監督を務め、2009年にはJ2で優勝してJ1昇格。2011年には東日本大震災で被災した東北地方の代表としてチームをまとめ上げて戦い、4位という好成績を残すと、翌12年にはチームを2位と躍進させて初のACL出場権を獲得した。

 堅守速攻をベースに、ソリッドなチームを作りあげることができる指揮官だ。仙台でも五輪代表でも、主に4-4-2のシステムを重用し、FW、MF、DFときっちりと3ラインを形成して、ボールを奪えば速く攻める戦術を好む。普段はダジャレ好きの陽気なおじさんを演じているが、希代のモチベーターで熱い言葉で選手の心に火をつけることが得意だ。

 リオ五輪ではオーバーエージで日本代表FW大迫勇也(ケルン)ら希望の選手を呼べず、さらにエースのFW久保裕也(ヘント)もチーム事情で呼べないという不運に見舞われた。Jリーグで優勝経験はないが、国際経験は豊富。複雑な戦術ではなく、シンプルで効果的な戦術でチームを作りあげるという意味では、代表向きと言える。

長谷川 健太監督 (52歳、現ガンバ大阪監督)

 今季限りでガンバ大阪の退任が決まっており、こちらも五輪監督就任へ障害はないとみられる。2005年から6年間清水エスパルスを率い、2013年から今季まで5年間ガンバ大阪を率いており、Jリーグでの指揮経験は上記のふたりよりも豊富と言える。

 元日本代表FWで、選手時代は森保氏と同じくドーハの悲劇を経験している長谷川監督。指導者として特にスポットライトが当たったのが、ガンバ大阪で達成した2014年の3冠だ。13年にJ2を戦うチームの監督に就任すると、この年に圧倒的な強さでJ2を制してJ1昇格を果たした。その翌年にはJリーグ、天皇杯、ナビスコ杯と3つのタイトルを総なめするという快挙を成し遂げている。

 戦術の幅は広く、清水時代は1トップに大型FWを置いたサイドアタックがチームの特徴だった。一方でガンバ大阪では、守備が崩壊してJ2に降格したチームに、細かいポジショニングの意識を植え付けてチームを改革。元日本代表MF遠藤保仁を中心に、巧みなパスワークを特徴とした攻撃的なチームに、堅守と鋭いカウンターを備えさせて隙のないチームを作りあげた。さらに日本代表MF井手口陽介、現フローニンゲンMF堂安律ら、若手の起用にも積極的な点も特徴だ。

 さらに成績面をみると顕著なのが、カップ戦での強さだ。清水、ガンバ大阪での10年間の監督経験(今季を除く)のうち、ナビスコ杯、天皇杯で計8回も決勝に進出している(うちガンバ大阪で3度優勝)。短期決戦の強さはまさしく代表向きと言えるだろう。

 以上のようなデータを見てみると、メディアで最有力と叫ばれている森保氏より、手倉森氏、長谷川氏が東京五輪監督にふさわしいのでは、という点は多い。森保氏はJリーグでの実績は上回るが、戦術面など不安要素も多い。今年10月には決定すると言われている東京五輪監督。果たして誰が選ばれるのが注目していきたい。