マンチェスター・ユナイテッドは衰退するのか、それとも復活するのか。ヨーロッパ・リーグ決勝直前情報

 5月24日、ヨーロッパ・リーグ(EL)の決勝で、アヤックス(オランダ)と対戦するマンチェスター・ユナイテッド。もちろんタイトルのかかった大一番だが、ELはヨーロッパのナンバーワンを決めるチャンピオンズ・リーグ(CL)に出られなかったチームが出場する、いわば『第2グループ』の優勝決定戦だ。

 しかし過去にCLも3度制しているマンUが、今季はELにこだわらなければならない理由がある。すでに今季、プレミアリーグでは5位以下が決定し、4位以内に与えられる来季のCL出場権を2年連続で逃してしまったのだ。しかし“裏技”として、ELで優勝すれば来季のCL出場権を得ることができる。欧州屈指の名門が、是が非でもEL制覇にこだわる理由がここにある。

 ではなぜ今季のマンUは、リーグ戦で低迷したのか。上位の5チーム(チェルシー、トッテナム、マンチェスター・シティ、リバプール、アーセナル)と比べて、圧倒的に不足しているのが得点力だ。上位チームはエースが20点前後、加えて2番手でも15点近いゴールを挙げている。トッテナムならハリー・ケインが22得点、デリ・アリが17得点といったように。しかしマンUは、チームトップのイブラヒモビッチが17点、続く2位はファン・マタのわずか6得点だ。(数字はすべて5月18日時点)。

 今季は優勝請負人と言われるジョゼ・モウリーニョ監督を招へいし、さらにユベントスからフランス代表MFポール・ポグバ、パリ・サンジェルマンから元スウェーデン代表FWイブラヒモビッチ、ボルシア・ドルトムントからアルメニア代表FWヘンリク・ムヒタリアンと次々にビッグネームを獲得。しかし4月に右膝じん帯を負傷して今季絶望となるまで得点源として機能していたイブラヒモビッチを除くと、世界最高額の移籍金で加入したポグバも、ここまでチームが低迷するなかでユベントス時代に見せていたような安定したパフォーマンスは見せられていない。

 さらに長くチームをエースとしてけん引してきたウェイン・ルーニーは、31歳を迎えて衰えを隠せない状況になり、レギュラーも剥奪されて今季わずか5得点にとどまり、今季限りでの退団も噂されている。一方、代わって新たな得点源の候補として期待されていた19歳の若きイングランド代表FWマーカス・ラッシュフォードは5得点と、ブレークと言える状況には至らず。同じく新エース候補のひとり、21歳のフランス代表FWアントニー・マルシャルもわずか4得点。さらにプライベートの離婚問題なども報じられてメンタル的に不安定な一面も露呈するなど、伸び悩んでいる。

 1年契約のイブラヒモビッチは、負傷で来季途中までプレーできないこともあり、今季限りでの退団がイギリス・メディアではさかんに報じられている。そうなると、新たなストライカーの獲得が急務となってくる。エヴァートンで今季得点ランキングのトップを走るベルギー代表FWロメロ・ルカクらの名前が挙がっているが、もしCLの出場権を逃すことになれば、高いレベルでのプレーを求めるワールドクラスの選手を獲得することは困難を極めると言えるだろう。2年続けてCL出場を逃し、チーム力をアップさせる補強もうまくいかなければ、来季も厳しい状況となる可能性は高い。

 27年間チームを率い、数々の栄光をもたらしたアレックス・ファーガソン監督が2012―2013年シーズンに退任して以降、マンUはプレミアリーグの優勝からは遠ざかっている。それでも世界有数のビッグクラブには今でもすばらしい選手がそろっている。ELを制して来季のCL出場権を獲得し、かつてのFWファン・ペルシーやFWルート・ファンニステルローイのようにシーズン20得点前後を期待できるようなストライカーの補強に成功すれば、来季はプレミア制覇、そしてCLでの上位進出も不可能な目標ではない。しかしかつてはヨーロッパのベストクラブに君臨しながら、現在はセリエAでも優勝争いに絡むことができない状況にまで凋落したACミランように、数年の間に欧州トップレベルから滑り落ちてしまったクラブもある。レッド・デビルズ(マンUの愛称)にとって、EL決勝は今季最大のビッグマッチとなる。