W杯最終予選2連勝で唱える日本代表不動のキャプテン長谷部誠の”不要論”

3月のアジア最終予選、UAE戦、タイ戦に2連勝し、いよいよ2018年のロシア・ワールドカップ出場が近づいてきた日本代表。

この2戦は不動のキャプテン、長谷部誠を右膝の負傷で欠いての2試合だった。しかし結果は昨年戦ったホームでは敗れたUAEに2-0で、タイには4―0で快勝した。
ここで気になるのが、果たして長谷部は本当に日本代表に必要なのか、という点だ。トータル11編集部では、一見過激にも見える「長谷部不要論」について、さまざまな角度から検証してみたい。

今回の2戦では、ここまでボランチとして不動の存在だった長谷部を欠く中、中盤の構成に変化があった。UAE戦では逆三角形で構成された中盤で、アンカーを山口蛍、前にふたり並んだインサイドハーフを2年ぶりの代表復帰となった今野泰幸と、香川真司が務めた。
今野が負傷離脱したタイ戦では、ダブル・ボランチに山口蛍と本来はサイドバックの酒井高徳を置き、トップ下を香川が務めた。

試合前は長谷部の不在が懸念されていたが、UAE戦では今野が久々の代表復帰とは思えないハイパフォーマンスを披露。

守備ではUEAのエース、オマル・アブドゥルラフマンを激しいチェックで何度も潰し、さらに久保裕也のクロスを冷静なトラップから押し込み、試合を決定づけるゴールまで挙げてみせた。

一方タイ戦ではハンブルガーSVでボランチも務める酒井高が日本代表では初めてこのポジションを務めたが、ミスも多く急造の感はぬぐえなかった。

しかし長谷部抜きでもきっちりと勝ち点6を積み上げたこの2戦は、これまで聖域だったキャプテンのポジションを、もう一度フラットな目で見直す契機となるのではないだろうか。

長谷部は2010年、南アフリカワールドカップの直前にキャプテンに就任し、長きにわたってキャプテンマークを巻いてきた。すでに岡田武史監督、アルベルト・ザッケローニ監督、ハビエル・アギーレ監督、そして現在のヴァヒド・ハリルホジッチ監督と、4人の指揮官の元でキャプテンを託され、信頼を寄せられている。
さらに所属先のフランクフルトでは、中盤としての堅実なプレーだけでなく、今季は3バックの中央でもプレー。ドイツメディアから「日本のベッケンバウアー」と賞されるほど、リベロとしても高い水準のプレーをみせ、その戦術理解度の高さを賞賛されている。

では日本代表での長谷部のパフォーマンスはどうか。

確かに近年も豊富な経験に裏打ちされたポジショニング、気の利いたカバーリングなど、波の少ないパフォーマンスはみせている。

現在のプレースタイルを端的に表せば「バランサー」。中盤低めの位置からピッチ全体を見回して、時に攻撃がうまく回るようにパスの経由地となり、時に守備で危ないスペースを埋めてピンチを防ぐ、そんな役回りだ。

 
しかし厳しい見方をすれば、「無難」なプレーが多い、とも言える。
例えば攻撃面。浦和レッズに在籍していたころの長谷部は、縦にぐいぐいとドリブルでボールを運び、決定力にも非凡な才能をみせていた。

だが近年はゴール前まで顔を出す機会は少なく、さらに一発で相手の急所をつくキラーパスを操る司令塔タイプというわけでもないため、攻撃面の貢献度は高くない。
岡田監督、そしてザッケローニ監督時代には、主に攻撃の組み立て役はガンバ大阪の遠藤保仁が担っていたし、その遠藤がスタメンから外された2014年ブラジルワールドカップでは、やはりビルドアップ面での物足りなさを露呈してしまった。

現在でも攻撃力だけでいえば、今回は負傷で出場がなかったが、独創的なパスセンスを誇るFC東京の高萩洋二郎、そして現在オランダ・へーレンフェーンでボランチとしてプレーし、破壊力満点の左足を持つ小林祐希らに軍配が挙がるだろう。