【コラム】鹿島のサッカーに見る、日本代表が世界で勝つための方法

12月18日にクラブワールドカップ決勝戦、レアル・マドリード(欧州王者)対鹿島アントラーズ(開催国王者)が行われた。レアル圧勝を予想する声も多かった中、鹿島は柴崎岳の2ゴールで90分間2-2で延長戦に持ち込んだ。延長戦では、先日4度目のバロンドールを受賞したクリスティアーノ・ロナウドに2ゴールを許し、結果は4-2でレアル・マドリードが世界一に輝いた。

世界中を驚かせた鹿島アントラーズのサッカー。そこには、日本代表が世界のトップ相手にも対等に戦う術が隠されている。

 

鹿島は、今シーズンのJリーグで年間順位で3位であった。そこからチャンピオンシップ準決勝で川崎フロンターレを下して、決勝戦では浦和レッズに競り勝った。仮に、川崎フロンターレか浦和レッズがクラブワールドカップに出場していれば、ここまでの躍進は期待できなかったかもしれない。

なぜなら、川崎と浦和には格上を相手にする時の『我慢するサッカー』が浸透していないからだ。川崎のように細かなパスを繋いで相手を崩すこともできなければ、浦和のように徹底したサイド攻撃を披露することもない。

しかし、鹿島には何よりも勝負にこだわるメンタリティが備わっている。その力は、日本国内のみならず、世界でも通用することを証明して見せた。

 

日本代表は、1998年のフランス大会から5大会連続でワールドカップに出場している。しかし、2002年母国開催と、2010年南アフリカ大会での“ベスト16”が最高成績だ。
『世界一』を狙うには程遠い成績であり、その実力差はピッチで戦う選手が最もよく知るところだろう。

ワールドカップ直後には、「戦術の問題だ」「フィジカルが圧倒的に違う」「決定力不足」など、課題が山のように挙がっているが、いまだ世界で勝つための解決策を模索している。

その答えの片鱗を、鹿島アントラーズが今回のクラブワールドカップで見出してくれた。
それは、『美しく勝つ』ことでもなく、『自分たちのサッカー』にこだわることでもなく、『絶対にチャンピオンになる』という強いメンタリティを持ち続けることだ。

 
戦術は、相手のキーマンを複数人で潰しに行き、カウンターで縦に早く攻めるサッカー。そして自分たちの時間が来た時には、落ち着いてボールを回して遅攻も織り交ぜる。リードを奪った終盤には全員で守り、リードされたら泥臭くゴールを奪いに行く。まずは相手のストロングポイントを潰し、勝負どころで確実にゴールを決める。

重要になるのは、その戦術を遂行すると同時に、全ての選手が“目の前の相手に負けない”ということ。サッカーの基本であるが、局面の1対1で負けが積み重なると失点し、勝ちが重なると得点となる。

鹿島はそれを徹底し、1人で負けそうな時は、複数人でボールを奪い切る。90分間それを続けられるチームはそう多くない。

さらには、GK曽ヶ端のスーパーセーブや、MF柴崎岳のスーパーミドルなど、ウルトラC的なビックプレーに支えられることも多かった。こうしたプレーができた要因は、日頃の質の高いトレーニングと、それを実践で発揮できるメンタルの強さに他ならない。決定的な場面でゴールを死守するGKと、状況を一変させる決定力の重要性を改めて思わせてくれた。

柴崎岳は、決勝の前日会見で「明日は勝ちに行きます」と自信を持って語ってくれた。レアル相手に良い試合をするためではなく、タイトルを獲るためだけに試合に挑む姿勢を貫いた。そして決勝戦では世界を驚かせる2ゴール。それでも試合後は自身のゴールには触れず「タイトルが獲れなくて悔しい」とコメントを残した。

以上を踏まえると、日本人(日本代表)が世界で結果を残すには、下記がポイントとなる。

・「全てはタイトルのために」というメンタリティを持ち続ける

・戦術はカウンター。全員守備+全員攻撃

・どんな選手相手にも「目の前の相手に負けない」こと

・GK、FWの選手のビックプレー

 

決して簡単なことではないが、鹿島はベテランの小笠原満男を中心に、いつもこのサッカーをやり続けた。
誰一人として、疑うことなく。

その結果が、Jリーグで圧倒的なタイトル数「18」を獲得し、今回のクラブワールドカップでも準優勝という誇らしい成績につながっている。

 

クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル代表)やセルヒオ・ラモス(スペイン代表)、トニ・クロース(ドイツ代表)、マルセロ(ブラジル代表)らを擁するレアルの選手たちは、ワールドカップで優勝を争う位置にいる。その選手たちを本気にさせ、90分間では同点に持ち込んだという事実は、今後もクラブワールドカップ史で語り継がれることだろう。

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